生麩であんを包む麩まんじゅうは小金井の地域の味

生麩であんを包む麩まんじゅうは小金井の地域の味

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夏の終わりにありがたいつるんと冷たい和菓子

生麩であんを包む麩まんじゅうは小金井の地域の味

日中は暑くても朝方はちょっと霧がかかる。そんな時期になると、おやつはキンキンに冷えたアイスじゃなくてもいいかなと思うようになります。でも、やっぱり冷たいお菓子がいいな。そこで足が向くのが、小金井市の和菓子屋さんの三陽。ここの人気商品の一つが麩まんじゅうです。あんを生麩で包んで茹でて作るお菓子。お寺が多く精進料理を食べる文化がある京都などでは生麩は比較的手に入りやすいものですが、多摩地域ではちょっと探さないと見つからない。しかも出来上がりは足が速いので売れ残ったらたいへん。だから、麩まんじゅうを作っている和菓子屋さんはそう多くない。それをいつも出してくれるお店があるというのはありがたいことです。

弾力のある食感の生地に上品な甘さのあんがぴったり

生麩であんを包む麩まんじゅうは小金井の地域の味

三陽の麩まんじゅうは粒あんとこしあんの2種類。粒あんはよもぎ入りの生地で、こしあんは青のり入りの生地です。それが笹の葉で丁寧に包まれている。お願いすると、パックに並べた上に水で湿したペーパータオルをふわっとのせて包んでくれます。麩まんじゅうはこの水で包むことが肝心なんですね。笹の葉を開くと、水から取り上げたままのようなつやつやの麩まんじゅうが現れます。口を付けると、つるん。一口かじり取ると、むっちり。かみしめると、しこしことした弾力がいい。それに三陽自慢の上品な甘さのあんがからんで、もぐもぐしながら思わず笑みがこぼれてしまう。飲み込むのがもったいないなと思いながら、喉ごしがまたよくて満足満足。

地域の食文化に根差した人気商品

生麩であんを包む麩まんじゅうは小金井の地域の味

三陽にはほかにも上生や焼き菓子はもちろん、かわいらしい創作菓子も並びます。小金井は、最近は若い家族も多い街ですが、お屋敷が多かったり門跡寺院の禅寺があったりと、ちょっとリッチな地域だったようです。それでお茶や懐石をたしなむ風があって、和菓子屋さんが繁盛するのでしょう。麩まんじゅうもそういうことが影響しているのかと思っていましたが、この地域にはもともと茹でて作る茹でまんじゅうを食べる習慣があったそうで、それで麩まんじゅうもすぐに人気になったらしい。そう考えると、このおいしい麩まんじゅうの一個にも実はこの地域の歴史だとか文化だとかが詰まっているんだなと感じます。というわけでもう一個いただきましょう。

麩まんじゅう

御菓子司 三陽 住所:東京都小金井市本町2丁目9

※掲載情報は 2015/08/25 時点のものとなります。

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キュレーター情報

齋藤訓之

FoodWatchJapan 編集長

齋藤訓之

北海道函館市生まれ。1988年中央大学文学部卒業。レストランビジネスを志していたはずが、レストランビジネスに役立つ本を作る仕事にのめり込む。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、日経BPコンサルティングのブランド評価プロジェクト「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、農業技術通信社「農業経営者」副編集長等を経て、フリーランスのライター・編集者として独立。2010年10月株式会社香雪社を設立し、農業・食品・外食にたずさわるプロ向けの情報サイト「Food Watch Japan」をスタート。著書に「入門 日本の七十二侯と旬の食」(洋泉社)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、「創発する営業」(共著、丸善出版)、「創発するマーケティング」(共著、日経BPコンサルティング)など。

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