京都老舗料亭「和久傳」の桑の茶

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身体にす〜っと入ってくるカフェンレスの桑茶

いささか、個人的なことですが、血圧やらコレステロールが高いという持病があり長年病院で定期検診をしているのです。食に関わる仕事をしているので、食べないわけにはいかないし、美味しいものは食べたいし、健康にも留意したいと悩むところです。メタボ対応の健康茶というものも沢山ありますが、しかし、あまり美味しいものは少ないですね。しかし、先日京都でこれはというお茶に巡り会えたのです。

 

朝から夕方まで撮影して昼はお弁当という生活を5日間続けていたのですが、一緒にペットボトルのお茶がついてきたのです。今回出会ってご紹介するお茶は、桑の葉を使っている茶なのですが、桑の葉もお茶になるとは知らなかったのです。桑の葉というと、絹をつくる蚕(かいこ)の餌ですが、桑もお茶になるのですね。最初に一口飲んだ印象は、「薄い味」という感じでしたが、既存のペットボトルお茶のような、渋みや、えぐみがなく、さらっとした味でした。だんだん桑の葉の香りと、すっきりとした風味が好きになっていたのです。

 

この桑茶「そうめい」という名称で作っているのは、京都の料亭「和久傳」なのです。料亭のお茶というと何やら抹茶や煎茶というイメージがありますが、和久傳の発祥は丹後なのです。丹後と言えば、天平の頃より養蚕の地であり、江戸から昭和まで高級絹地「丹後ちりめん」の産地として諸国にまでも名を馳せていました。 しかしながら、時代の変遷とともに、絹織物産業が衰退、桑畑のみが残る結果となりました。和久傳は、発祥の地の地域の活性化と丹後の食材の素晴らしさを知ってもらうために、丹後に野菜の畑や桑の葉畑を整地し生産拠点を作ったのです。その丹後の恵まれた自然を有効利用し、食物繊維や豊富な栄養が詰まっている桑の葉茶が完成したのです。有機栽培の桑の畑で、害虫駆除は人の手で手間をかけて行われているそうです。ちょっとこの桑茶を調べてみたのですが面白いですね。

 

健康茶という視点からも、桑茶は食物繊維も多く含まれており、カルシウムはなんと牛乳の約24倍で、鉄分は納豆の約15倍もあるそうです。さらに、桑の葉には、小腸で糖質の吸収を阻止する効能があるため、糖分の吸収がゆるやかになり、食後の血糖値ピークの上昇を抑える作用で糖尿病の予防につながるとされています。また、インスリン分泌を抑制する効能も証明されているのです。昨年尼崎の糖尿病専門病院のレシピ本の制作をし、今年発売したのですが、発売2ヶ月で重版になりました。食生活が豊かになりすぎて糖尿病を罹患する人や予備軍を含めると日本では2050万人もいるそうです。次回、糖尿病予防のレシピ本を作る機会があるなら、ぜひ、この桑茶もレシピに組み込みたいと思います。そして、この原稿を書きながら桑茶「そうめい」を飲んでいるのでした。

※掲載情報は 2015/08/15 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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