日本の柿の北限甲子柿で作った仙人柿酢を使った「柿酢サイダー」

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柿酢のさわやかな酸味がやさしいサイダー

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一時期「シャンパンは何が好きですか?」と聞かれると、「好きですが、シャンパンより、ビールが好きで、さらに、ビールより”三ツ矢サイダー”」と答えていました。まぁ、3つとも発泡性の飲料ですが、特にサイダーが好きなんですが、理由はなんでしょうか?

 

レストランで食事をする時にはほとんど”ガス入りのミネラルウォーター”を頼みます。つまりは”炭酸水”が好きなのです。炭酸とは二酸化炭素が水に溶解して水分子が付いた弱酸のもので、これが含まれている水を、炭酸水と呼びます。炭酸が溶解した水が炭酸水なのです。飲んだ時に喉に少し刺激がありますが、炭酸の嫌いな方々はこの刺激がダメなようですね。

 

サイダーの語源は、英語圏ではリンゴ酒を意味するサイダー(cider)なのですが、これはリンゴを発酵させた立派なお酒なのです。リンゴ酒はフランス語のシードル(cidre)で、読み方が違うだけで、シードルを蒸留すると度数の高いリンゴ酒の”カルヴァドス”になるのです。ちなみに私はフランスのカルヴァドス協会の日本支部の会員なのです。フランスやスペインでは、この微発酵のシードルがよく飲まれています。日本では、炭酸飲料とアルコールのリンゴ酒を区別するために、サイダーと言っている訳ですが、似たようなものにラムネがあります。

 

では、サイダーとラムネはどう違うのでしょうか?ラムネは、レモン水を意味する英語「レモネード(lemonade)」がなまったもので、炭酸水にレモンやライムの香料、砂糖などを加えた清涼飲料水のことで、サイダーはリンゴ酒由来ですが、現在の日本ではラムネもサイダーも炭酸水の一種なのです。大きな違いはビー玉の入ったものを「ラムネ」、ビー玉の入っていないものを「サイダー」と呼んで区別しているだけなのです。

 

話は最初に戻りますが、日本のサイダーのルーツは冒頭にも書いた「三ツ矢サイダー」なのです。1875年に発売された「金線サイダー」と1907年発売の三ツ矢サイダーが合併され、三ツ矢サイダーのみが残されたため、三ツ矢サイダーは日本初のサイダーの歴史を受け継いでいるのです。この時代に三ツ矢サイダーは、「三ツ矢シャンペンサイダー」という名称でした。このサイダーをこよなく愛していたのが、宮沢賢治なのです。賢治が「ちょっと飲みに行こう」と言う時は、サイダーだったのです。賢治が頻繁に行っていた蕎麦屋が花巻にあります。「やぶ屋花巻総本店」という店で、賢治は“天ぷらそばとサイダー”という組み合わせをこよなく愛していたそうです。

 

この宮沢賢治の代表作と言えば『銀河鉄道の夜』ですが、この鉄道のモデルは「岩手軽便鉄道」で賢治の生まれ故郷の花巻から沿岸の釜石まで通っているのです。現在はJR釜石線ですが、多くのトンネルを抜けていき、釜石の市内に近づくと、多くの柿の木が出現します。この柿の木こそ日本の柿の北限と言われている「甲子柿(かっしがき)」の故郷なのです。甲子柿とは、釜石甲子地区で育った渋柿の一種である小枝柿を煙でいぶして甘さを凝縮させたもので、トマトと同じくらい赤く、リコピンは他の柿よりも30倍も多く含まれているのです。また、ビタミンCはトマトの約1.6倍あり、注目すべきは、B-クリプトキサンチン(抗酸化物質)が温州みかんよりも多く含まれているのです。そして、甲子柿と酵母を原料に発酵、熟成させた昔ながらの手作りの醸造酢で甲子柿酢の「仙人柿酢」が20数年前に誕生し、市民から愛される地元のお酢だったのです。

日本の柿の北限甲子柿で作った仙人柿酢を使った「柿酢サイダー」

この「仙人柿酢」をベースにしたサイダーの開発は、今から3年ほど前に始まったのです。東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸地区の産業の振興のために、釜石市にある「釜石・大槌地域産業育成センター」が中心になり、釜石市の「第3セクター釜石振興開発」が共同開発して、何度も柿酢の配合を替えたりしながら完成したのが「柿酢サイダー」なのです。この釜石特産品「甲子柿」で製造した「仙人柿酢」を使用した飲料「柿酢サイダー」は、ほのかな柿の甘みと柿酢の酸味が絶妙ですっきりした味わいが特徴で、サイダーの炭酸と柿酢のバランスが良く、宮沢賢治ではないですが、食中でも料理の邪魔をしません。かなり、全国の地元サイダーの愛飲家としても、お薦めのサイダーです。

日本の柿の北限甲子柿で作った仙人柿酢を使った「柿酢サイダー」
紹介しているお店
釜石振興開発株式会社

※掲載情報は 2016/10/07 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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