生酒 無濾過 純米吟醸 南
有限会社南酒造場 TEL：0887-38-6811
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流行には流されない酒造りと、「人」から生まれるブランディング
高知県安芸群安田町、高知県特有の風土の象徴とも言える土佐漆喰の水切瓦が美しく連なる風情ある蔵。地元では「玉の井」のブランドで親しまれており、東京のブランドでは「南」を展開している酒蔵が、有限会社南酒造場だ。
数年前、東京の知人の店舗で「南」を飲んで以来、その美味しさに魅了され、念願叶って蔵へ訪れることができた。その美味しさはどう醸されているのか知れるとあって、好奇心は絶頂にあった。
南酒造場の日本酒は約9割が純米酒。年間生産量は約500石（※）と決して大量とは言えないが、“目の行き届く範囲でしか酒を造らない”というこだわりを話してくれたのが南社長。貴重なことに、まだ瓶詰めされていない状態の生酒無濾過 純米吟醸「南」を試飲させていただいた。香りから穏やかな吟醸香が感じられ、口に含めばお米本来の旨みを思わせる骨太な味わいをベースに、優しい酸味と華やかさが程よいキレを演出している。余韻は骨太の味わいとは対照的に軽快なのが不思議だ。
旨みが効いて、かつキレも感じられる“酒だけでも飲める日本酒”を目指している南酒造場。一時は清々しく透明感のあるきれいな酒質がブームとなった時も、想いをぶらさずその酒質に向かって酒造りに邁進。その味わいの特色は“麹”に隠されていた。かつては自動製麹機を使用していたが、昔ながらの製法“箱麹法”に戻し、手間は圧倒的にかかるが、それ故、骨太とキレの両方を合わせもつ日本酒となった。また、酒造りの想いは一貫させつつも、山形県の酒造好適米を新しく採用するなど味への探究心は強く、また不作といった環境にも柔軟に対応している。
日本酒造りは子を育てるようなものと考えている南社長。今は「南」と聞けば、日本酒好きなら誰しもが興味を持つが、認知度があがる前は日本酒を大切に扱ってくれる販路を模索した。結果、量販店ではなく個人経営の酒販店を中心に拡大。息子を酒販店に勤めさせ、勉強させるといった面白い一面もある。
これは「南」に限ったことではないが、日本酒をよりおいしく飲む方法のひとつは“ごはんを食べること”。「当たり前」と思うかもしれないが、最近はパン、うどんなどの麺類等、小麦生活中心の方も少なくない。しかなしながら、日本酒は米を原料としているため、米＝ごはんを食べている方がより日本酒の旨みや酸味といった複雑な成分を舌が感知することができるのだ。現状、小麦生活中心の方でもごはん生活へと切りかえて継続していけば舌は鍛えられるため、あきらめないでほしい。日本酒本来の美味しさを感じられる日も遠くない。
前述の通り、「南」の生産量は限られているため、展開している店舗や酒販店はそう多くはない。しかし、発見した際は是非、ご賞味いただきたい。
疲れたカラダに癒しの一杯を。
※1升瓶50,000本分
[注意]普段、蔵見学は行っておりません。
※掲載情報は 2015/03/16 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理研究家
高橋善郎
1988年7月14日 神奈川県川崎市出身。
和食料理人の父の影響で、幼少期から実家の店舗で料理の基礎を学ぶ。
大学卒業後、大手食品メーカー、IT会社に勤務しながら、本格的に料理の勉強を始め、調理師免許、きき酒師、ソムリエなど食に関する資格を取得。
日本酒ソムリエの上位資格である、日本酒学講師においては史上最年少で合格。
祐成陽子クッキングアートセミナーを卒業後、独立。
素材の持ち味を活かした和食をベースに、エスニックからイタリアン、オーガニックと幅広いジャンルを得意としている。
著者、関連本は宝島社「魔法のココナッツオイル」、エイ出版社「イケ麺レシピ」、企業のレシピ開発、イベント出演等活動中。
和食専門料理教室 / 日本一魚がさばける料理教室「Family」主宰
和食の基本である、だしの取り方、だしを使い素材の味を活かした料理作成、魚のさばき方等を中心にレクチャー。
【保有資格】
日本酒学講師 / 唎酒師（ききさけし） / ソムリエ（ANSA） / ジュニア野菜ソムリエ / ビアアドバイザー / ジュニアアスリートフードマイスター / 調理師免許 / 食品衛生責任者
