北海道産【ゆめちから】使用のルスツリゾートのパン

北海道産【ゆめちから】使用のルスツリゾートのパン

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中身しっかりなのにフワッと&パリッと

北海道産【ゆめちから】使用のルスツリゾートのパン

7月に北海道栗山町の勝部農場を訪ねた折、農場主の勝部征矢さんがお土産にくださった食パン。出来上がりを冷凍したもので、クーラーボックス入り。冷凍庫に入れておいたのを取り出してスライスしてそのままオーブントースターへ。トーストすると、表面のパリッとした食感と中のフワッとした食感のコントラストがはっきりとしておいしい。断面を見ると生地がしっかりたっぷりあるけれど、気泡の一粒、一粒がしっかりしている。それでこういう食感になっているらしい。巷には気泡が大きくてふんわり軽いものの中身はすかすかなんていう食パンもありますが、今回いただいた食パンは風味しっかり、「パンを食べているなあ」という味がする。

北海道の小麦大生産者が主力に選んだ品種【ゆめちから】

北海道産【ゆめちから】使用のルスツリゾートのパン

パンを焼いたのは羊蹄山と洞爺湖の間にあるルスツリゾート。北海道のスキーの名所の一つで、最近はオーストラリアの人たちに人気があると聞いている。さて、勝部農場からは車で2時間ほども離れたホテルのパンを、勝部さんはなぜお土産にくれたのか。実はこのパン、【ゆめちから】という北海道産小麦を使っていて、その大生産者が勝部さんなのだ。そもそも勝部さんは北海道の超大規模小麦生産者として有名な人なんだけれど、現在は生産する小麦のほとんどをこの【ゆめちから】という品種に切り替えている。この品種の選択を決心するきっかけになったのが、ルスツリゾートで【ゆめちから】を使ったパンを試作してもらったことだった。

あり得なかった国産小麦のパンが現実に

北海道産【ゆめちから】使用のルスツリゾートのパン

パンには強力(きょうりき)粉を使う。グルテンを多く含んでいて、酵母が発酵したときに出る炭酸ガスを風船ガムのように、しっかり包んでふっくら膨らむからだ。ところが、強力タイプの小麦は春小麦といって春に播いて8月頃に収穫するものが普通。収穫期に高温多湿になる日本では作りにくい品種だ。だからパンは輸入した小麦で作るということが常識化していた。しかし北海道農業研究センターが育種した【ゆめちから】は秋に播いて翌年7月に収穫する秋小麦でありながら、超強力タイプ。これを使えば国産小麦でパンを焼ける。国産のものを選びたいお客さんが多い今、これはお客さんにもパン屋さんにも国内の小麦生産者にもいい話だったのだ。

パン食の外国人ツアー客に大評判となった国産小麦のパン

北海道産【ゆめちから】使用のルスツリゾートのパン

これを普及させるには大生産者の勝部さんに取り組んでもらおうと、北海道農業研究センターの方が勝部農場に相談に来た。しかし、慎重な経営者の勝部さん、それで作ったパンが本当においしいかを、まず確かめることにした。そこで知り合いに頼んでルスツリゾートでパンを作ってもらった。なぜルスツを選んだかと言えば、日本人よりもパンを食べて育っているオーストラリア人の意見が聞けるからだった。これが彼らに大評判。それで勝部さんは一気に【ゆめちから】生産に踏み切ったというわけ。そんな話を聞けばなおさら食べたくなるものの、ウチではあっという間に食べ切ってしまった。この冬は北海道へスキーとパンの買い出しに行きますか。

※掲載情報は 2014/11/11 時点のものとなります。

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キュレーター情報

齋藤訓之

FoodWatchJapan 編集長

齋藤訓之

北海道函館市生まれ。1988年中央大学文学部卒業。レストランビジネスを志していたはずが、レストランビジネスに役立つ本を作る仕事にのめり込む。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、日経BPコンサルティングのブランド評価プロジェクト「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、農業技術通信社「農業経営者」副編集長等を経て、フリーランスのライター・編集者として独立。2010年10月株式会社香雪社を設立し、農業・食品・外食にたずさわるプロ向けの情報サイト「Food Watch Japan」をスタート。著書に「入門 日本の七十二侯と旬の食」(洋泉社)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、「創発する営業」(共著、丸善出版)、「創発するマーケティング」(共著、日経BPコンサルティング)など。

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